シロアリ駆除を業者に依頼する前に、多くの人は次の2つの不安を持つと思います。
- シロアリ駆除って何をするのだろうか、きちんと駆除してもらえるのだろうか
- 相場より高い費用を請求されることはないだろうか
駆除方法がよく分からないから駆除費用が不安になります。ということは、駆除方法が分かると適正価格が把握できるようになり、不安がなくなります。
そこでシロアリ駆除を業者に発注しようと考えている方は、どのような作業が行われ、1つひとつの作業がいくらなのかを知っておいたほうがいいでしょう。
シロアリ駆除の費用の内訳を見てみましょう。
例えば「坪単価3,296円(税抜き)」の費用の内訳を見てみよう
シロアリ駆除の費用は、さまざまなコストと業者の利益を足して算出されます。ところがコストも利益も、業者によってまちまちです。
そこでまずは費用内訳の「基本」を見ていきましょう。ここで紹介する「見本」を見ておけば、シロアリ駆除費用はどのようにつくられていくか、が大体分かるようになります。
あなたが実際に業者から受け取る見積書は、この「見本」とまったく同じではありませんが、しかしそれほどかけ離れたものでもないはずです。
費用算出は坪単価×面積
費用内訳の「見本」として、白蟻駆除住宅補強協同組合(白住協)のシロアリ駆除費用を見てみます。
白住協は1坪当たりの駆除費用を3,296円(税別)としています。
まずはシロアリ駆除が必要な面積を出して、その面積(坪)にこの3,296円をかけた金額が、あなたが支払う金額になります。
白住協は全国からシロアリ駆除の依頼を受ける組織です。実際に駆除を行うのは、白住協に加盟する業者になります。
3,296円の内訳は7要素
白住協の1坪3,296円という金額は、7つの要素で構成されています。
まずは次の6項目を見てください。
- 事前調査費
- 材料費
- 薬剤散布作業費
- 穿孔注入作業費
- 交通費
- 人件費
これが3,296円の構成要素ですが、それぞれの費用が全体の何%を占めているのかは明示していません。
また白住協では、坪単価3,296円にかける面積を、建物1階の床面積としています。
上記6要素に床面積を加えた計7つの要素について、1つずつ見ていきましょう。
事前調査費
事前調査とは、実際の駆除に入る前に駆除業者が現場を見る作業です。作業員を派遣するので費用がかかります。
白住協はこの事前調査の中に「相談」と「見積書の作成」のコストも含めています。
ただ白住協は、これとは別に「無料相談」を実施しています。「シロアリが発生したようだが、とりあえずどのようにしたらいいのか」といった初期の相談は無料です。
材料費
材料費のほとんどは薬剤費が占めます。シロアリ駆除では高価な薬剤を使います。
薬剤の代金が高くなるのは、ある意味仕方がないことです。シロアリを殺すだけであれば価格が安い強い薬を使うことができますが、シロアリ駆除の薬剤は住宅にまくので、人の健康に害を及ぼすものは使えません。
だからといって人の健康に気遣いすぎて弱い薬を使っては、肝心のシロアリは死にません。
そこで、シロアリ駆除業者でつくる公益財団法人日本しろあり対策協会は、シロアリ駆除効果を最大限にしながら人体への影響を最小限にした薬剤を認定しています。
もし相場より安い見積書を提示した駆除業者があったら、どのような薬剤を使っているのか確認したほうがいいでしょう。日本しろあり対策協会の認定薬剤を使っていないから安いのかもしれません。
ちなみに白住協の費用は、日本しろあり対策協会の認定薬剤を使った値段になっています。
薬剤散布作業費
シロアリ駆除の薬剤散布は、家の床下で行うという特殊な事情があります。
住宅の床下はとても狭く、作業員はそこを「匍匐前進(ほふくぜんしん)」して作業しなければなりません。重労働であるとともに、とても危険な作業です。
いわゆる「素人」が狭い場所で身動き取れない状況に陥ると、パニックを引き起こします。
そのため、シロアリ駆除の薬剤散布の作業費は、空き地に除草剤を散布する作業費よりはるかに高くなります。
穿孔注入作業費
穿孔(せんこう)とは孔(あな)を穿(うが)つという意味です、つまり穴を開けることです。
シロアリは住宅の柱の木材の中に入り込むので、柱に細い穴を開け、そこに薬剤を注入するという処理をします。
床下という作業しにくい状況下で、柱にいくつも穴を開けて薬剤を注入するという緻密な作業が求められるため、穿孔注入作業費も安くはありません。
交通費
作業員が自分の会社と現場の住宅を往復する交通費も3,296円/坪の中に含まれています。
人件費
シロアリ駆除の業務には、作業員のほかに営業担当、事務員なども関わります。いずれも人件費が発生し、これも3,296円/坪に含まれています。
床面積
白住協のシロアリ駆除費用は「坪単価3,296円×面積(坪)」で算出します。
その面積は、住宅が平屋でも2階建てでも、1階部分の床面積となります。
つまり最終的な費用額は、シロアリの数や被害状況によってではなく、床面積によって変わるということです。
別費用について
白住協は追加費用は徴収しないと宣言していますが、それでも「坪単価3,296円×面積(坪)」より高くなるケースがあります。
それは、
- ヤマトシロアリ以外のシロアリが巣くっていた場合
- 被害が著しい場合
- 10坪未満の場合
の3点です。
詳しく見ていきましょう。
白住協が上記3点を「追加費用」と呼んでいないのは、作業を始める前にこの3点について顧客に確認し、顧客の了承をもらったうえで費用を増額しているからです。
ヤマトシロアリ以外のシロアリが巣くっていた場合
国内のシロアリ被害は、大抵はヤマトシロアリです。よって国内のシロアリ駆除業者はヤマトシロアリ対策に力を入れています。
ヤマトシロアリに対しては駆除方法が確立され、薬剤も多く製造されています。そのためコストダウンが進んでいます。
しかし日本の住宅でもまれに、イエシロアリやアメリカカンザイシロアリによる侵害を受けることがあります。これらのシロアリには、ヤマトシロアリの駆除方法が使えません。
シロアリごとに専用の駆除方法を変えなければならず、そのためコスト高になります。
白住協では、ヤマトシロアリ以外のシロアリだった場合、費用は3,296円/坪より高くなります。
被害が著しい場合
あまり考えたくありませんが、家じゅうの柱という柱にシロアリが巣くっていた場合、費用は3,296円/坪より高くなる可能性があります。
それは、
- 作業量が格段に増える
- 散布する薬剤が格段に増える
ためです。
多少のコストアップは業者が吸収しますが、吸収しきれないコストは顧客に請求することになります。これも事前に顧客の了承を取ります。
10坪未満の場合
白住協だけでなく、多くのシロアリ駆除業者は最低費用を設定しています。
白住協は10坪を最低費用に設定しています。
どれだけ1階床面積が狭い住宅でも、10坪×3,296円/坪=32,960円(税別)が最低費用になります。
別の業者の費用内訳を見て「業者の癖」を見抜こう
白蟻駆除住宅補強協同組合(白住協)の「シロアリ駆除費用内訳」の分析を見ていただいた通り、適正な駆除費用を知るには「どのようにして費用を積み上げているのか」という視点が重要です。
そのためには、上記のように「費用を分解すること」が欠かせません。
業者から見積書をもらったら、必ず費用内訳を尋ねてください。
そこで次に、白住協以外の業者で、きちんと費用表示をしているA社のシロアリ駆除費用の内訳を見てみます。
A社の費用の積み上げ方は、白住協のものとは少し異なります。業者ごとに費用の積み上げ方の癖があることが分かります。
コンクリート処理費とは
A社は坪7,260円(税別、特別価格は5,500円)を基準費用として提示しています。特別価格はいわゆるキャンペーンで、季節ごとに100件限定で提示しています。
しかしその特別価格でも、白住協より高い設定です。
白住協では「コンクリート処理」という作業が「別途費用」になっているのですが、A社は7,260円(または5,500円)/坪の中にコンクリート処理を含めています。
コンクリート処理とは、タイル貼りの浴室や玄関や車庫などのコンクリート部分に穴を開けて薬剤を注入することです。コンクリートは木材より圧倒的に固いのでの、穴あけ(穿孔)作業は手間がかかります。
そこでA社は、ホームページで「他社の見積書にはコンクリート処理の費用は含まれていますか?」と呼びかけています。ホームページの閲覧者に「安いのはそれなりの理由があるんですよ」と注意しているわけです。
A社は、コンクリート処理はシロアリ駆除に欠かせないと考え、基準費用に組み込んでしまっているのです。
床下に入るための工事とは
A社では「床下点検口」をつくる場合、別途費用が発生するとしています。
住宅の中には、床下を点検することを想定せずに建てられたものもあります。床下に作業員が入らないと薬剤散布ができないため、そのような住宅では、A社が作業員を床下に入れるための床下点検口をつくることになります。
床下点検口がない家は珍しいので、とりあえず基準費用には含めず、床下点検口がない家に対してのみ別費用を請求するわけです。
A社で別費用が発生するケースとは
A社も、追加費用が発生するケースを明示しています。
A社は、シロアリ被害が2階にまで広がっていた場合、別途追加費用が必要としています。
これも2階まで被害が拡大していることは珍しいので別費用にしているものと思われます。
まとめ~「内訳を尋ねにくい」と考える必要はありません
人のよさそうな営業マンに「なぜこの金額になるのか教えてください」と尋ねるのは気が引けると思います。
しかし「費用の内訳を尋ねると嫌な顔をされるのではないか」と考える必要はありません。むしろ業者のほうが進んで駆除費用の根拠を説明すべきなのです。もし「大幅値引きしているから、費用の根拠なんて意味がない」と言われたら、「なぜそれほど値引きできるのですか」と質問してください。
優良業者は、費用の提示からしっかりしています。
白住協を選んだ5つの理由をまとめました
- 価格:全国一律の分かりやすい坪単価
- 品質:30年以上の実績と熟練したスタッフ
- 対応:全国対応24時間、年中無休で親切丁寧なスタッフ
- 保証:施工後5年、薬剤メーカーと一体になった保証
- 組織:国の各種認可を受けた協同組合
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