あなたの家を食い荒らすシロアリ駆除は、駆除業者の腕にかかっています。シロアリと完全に縁を切るには、優良業者と出会う以外にありません。

ところがシロアリ駆除業界には、いまだに悪質業者が存在します。悪質業者は言葉巧みにあなたに近寄り、あなたから強引に契約を取ろうとします。

優良業者に巡り合うには、あなたが悪徳業者を探知して排除する必要があります
悪徳業者の特徴と優良業者の特徴を紹介します。この特徴を覚えておいて、業者と話をするときの「観察項目」にしてください。

悪徳・駄目業者の6つの特徴

優良シロアリ業者と出会うには、少なくとも3~4社と接触しなければなりません。そして、次の要領で業者を選定していってください。
ステップ1:悪徳業者と駄目業者を排除する
ステップ2:優良業者の真似をしている隠れ悪徳・駄目業者を排除する

まずは、悪徳・駄目業者に顕著に見られる特徴を6つ紹介します。

悪徳業者と駄目業者は違う

悪徳業者と駄目業者は異なります。
悪徳業者は法外な値段をふっかけてきたり、強引に契約を取ろうとしたり、手抜き工事をしたり、嘘の調査報告をしたりします。
ただ、シロアリ駆除についてはとても詳しく知っています。

一方の駄目業者は、悪意はないが実力もない業者です。住宅のリフォームを専門にしている業者が、副業感覚でシロアリ駆除を行う場合がこれにあたります。シロアリの生態などの専門知識が乏しく、薬剤や道具もホームセンターでそろえたようなものを使います。

ただ、悪徳業者と駄目業者には共通項もあります。どちらに出会っても、あなたが不幸になるということです。シロアリは完全には駆除されず、お金の損失も発生します。

悪徳・駄目業者の特徴1「営業担当者が駄目」

シロアリ駆除を業者に発注するとき、必ず業者の営業担当者と面談することになります。あなたがそのとき、その営業担当に良い印象を持てなかった場合、悪徳・駄目業者の可能性があります。

営業担当者の身なりが不潔で汚い場合、イエローカードです。シロアリ駆除の作業は汚れまみれになるものですが、営業担当者は顧客のきれいな家に行かなければならないので、清潔であるべきです。

ただ、営業担当者だからといってスーツを着用している必要はありません。作業着姿の営業担当者でも問題ありません。しかしその作業着は、洗濯が行き届いたきれいな状態でなければならないでしょう。

説明が下手な営業担当者も警戒したいところです。

  • 何を言っているのか理解できない
  • 家主側の要望を聞き入れない
  • 質問に対して的を外れな回答をする

あなたが営業担当者に「話がかみ合わない人だな」と感じたら、あまりよくない業者なのかもしれません。

営業担当者の「口数が少ない」「愛想がない」といったことはマイナスポイントにはなりませんが、「肝心なことを伝えてくれない」「ため口」「なれなれしい」といった社会人としてのマナーが守れていない場合は、除外したほうがいいかもしれません。

悪徳・駄目業者の特徴2「シロアリに詳しくない」

信じられないかもしれませんが「シロアリ駆除業者」を名乗っていながら、シロアリの生態にまったく詳しくない業者もいます。このような業者は「薬剤を虫と巣にふりかければ終わる」としか考えていません。駆除はシロアリたちの行動の先を読む必要があるので、これでは完全駆逐は期待できません。

よって家主は、シロアリに生態に関する基礎知識を身につけておき、業者に専門的な質問をしてみてください。少なくとも、ヤマトシロアリとイエシロアリの見分け方すら知らない営業担当者の会社とは契約しないほうがいいでしょう。

悪徳・駄目業者の特徴3「薬剤に詳しくない」

薬剤に詳しくない業者と契約してしまったら悲惨です。シロアリを殺す薬剤は床下などに散布しますが、居住空間と床下の薬剤の間には、床しかないのです。

そこで業者には、必ず次の質問をしてみてください。
「使用する薬剤名と、その薬剤の人への影響を教えてください」

悪徳・駄目業者の関心は仕入れ値が安い薬剤を探すことなので、さまざまな種類の薬剤ごとのメリット・デメリットを詳しく知らないはずです。薬剤についてあやふやな回答をしたら「怪しい」と思ってください。

優良業者は、日本しろあり対策協会が認定する薬剤を使っています。あなたが薬剤の名称を尋ねて、業者が「当社は日本しろあり対策協会が認定する〇〇という薬剤を使っています」と即答しない場合、その業者に「△」をつけたほうがいいでしょう。

悪徳・駄目業者の特徴4「駆除以外のものを売ろうとする」

床下の湿気を取るために、床下専用の換気扇を取り付けることは、意味のないことではありません。もし業者に換気扇が必要であると言われたら、その理由を尋ね、納得できれば設置を検討してもよいでしょう。

しかし、一般的な住宅であれば、換気扇の数は1個か2個、せいぜい3個で十分です。
これを7個取り付けたという報告もあります。明らかに過剰設備で、悪意を感じます。

床下の湿気を取り除く「調湿剤(ちょうしつざい)」という材料の購入をすすめられた場合も注意してください。
あなたが見積もり依頼をした業者のうち1社しか調湿剤をすすめず、他社に相談したら複数業者が「要らないと思う」という回答した場合、不要なものを押しつけられそうになった可能性大です。

さらに、シロアリ駆除の依頼をしているのに、耐震補強の工事やリフォームをすすめてくる業者も敬遠したほうがいいでしょう。

悪徳・駄目業者の特徴5「不安をあおる」

悪徳業者は必ず不安をあおります。「いますぐ駆除しないとどうなっても知りませんよ」と言うかもしれませんが、それは嘘です。
「きょうあす中に緊急駆除しなければならないようなシロアリ被害はない」と覚えておいてください。
あなたも、国内の現在使用中の住宅が、シロアリ駆除が1~2カ月遅れたために倒壊した、
という話は聞いたことがないと思います。

シロアリを放置すれば、確かに最終的には住宅を倒壊させます。しかし3~4社に声かけして、すべての業者の意見を聞く時間は残されています。
1社しか話を聞いていない段階で契約しないでください。

悪徳・駄目業者の特徴6「契約を急かす」

契約を急かす業者はほぼ間違いなく悪徳・駄目業者でしょう。
「いま契約したら2割下げる」といった言葉にだまされないでください。もし最初から適正価格を提示していたら、2割も下げられるはずがないからです。それは最初に提示する価格を高く設定して、値下げすることでお得感を演出しているだけです。

複数の業者に声をかけて見積書をもらうことを「相見積もりを取る」と言うのですが、相見積もりを異常に警戒する業者がいます。
相見積もりをすると伝えた途端に態度を変える業者はNGです。

  • 相見積もりを取ると言ったら不機になった
  • 他社に見積もりを取るならこの値段では出せない、と言った
  • 値下げ要求に応じなかったのに、相見積もりを取ると言った途端に値下げに応じた

こうした言動は、悪徳・駄目業者の典型的な特徴です。

悪徳・駄目業者が、相見積もりを嫌うのは、自社の悪徳・駄目業務が発覚することを恐れているからです。

優良業者の5つの特徴

優良なシロアリ駆除業者の特徴は5つあります。
ただ注意していただきたいのは、悪徳業者も優良業者の特徴を知っているということです。悪徳業者は優良業者の真似をしてくるので、ここで紹介する特徴を持っているかもしれません。
しかし悪徳業者の真似は表面的なものなので、じっくり会話をすれば必ずボロを見せます。

優良業者の特徴1「ホームページがしっかりしている」

優良なシロアリ駆除業者は、そもそも企業として立派です。立派さとは、会社の規模の大小ではありません。
社長がしっかりした人物で、社員教育が行き届き、家主ときちんと会話ができ、身なりが良く、シロアリ駆除の知識が深く…と、アラがなかなか見つからない会社は優良業者である確率が高くなります。

本当は駆除業者の本社を訪問するといいのですが、そのような手間をかけていられない場合、業者のホームページを閲覧するだけでもしっかりした会社かどうか判別できます。

  • 電話代無料のフリーダイヤルを設置している
  • 企業名、会社設立日、代表者名、本社の周辺地図が掲載されている
  • 料金を消費税を含め表示している
  • 駆除方法を詳しく解説したページがある
  • サイト上で問い合わせることができる(匿名で問い合わせできる)

このような点がホームページのチェックポイントとなります。

優良業者の特徴2「徹底した調査をしてくれる」

見積書を提出する前に、住宅の被害状況の調査や診断をしっかり行う業者は、優良業者の確率が高いでしょう。
業者の中には、床下の調査のときにビデオ撮影をして、その動画を使って家主に被害状況を報告してくれるところもあります。

ここで注意したいのは、調査費用です。

もちろん、調査も見積書の作成も無料で行ってくれる業者はありがたい存在ですが、だからといって、調査費用が有料の場合でも、すぐに悪徳業者とはいえないのです。
調査を有料にしている優良業者も存在します。
調査内容がしっかりしていて、調査報告書を提出してくれ、費用が数千円で済むのであれば、それくらいのコストはかけてもいいかもしれません。

優良業者の特徴3「料金設定がしっかりしている」

優良業者の営業担当者は、料金説明がしっかりできます。営業担当者が家主に詳細な項目を記載した料金表を提示して料金説明をした場合、信頼できるかもしれません。

例えば「ヤマトシロアリ」と「イエシロアリまたはアメリカカンザイシロアリ」の駆除費用が異なることは問題ありません。駆除方法や手間が異なるのでコストが変わってくるからです。

またシロアリ駆除工事は、駆除と予防に分かれるのですが、駆除のほうが予防より高い費用設定になることは珍しくありません。駆除用の薬剤のほうが強烈なので、コストがかかるためです。

優良業者の特徴4「住宅の養生をしっかりする」

駆除業者と話をするときに、駆除をするときに住宅内をどのように養生(ようじょう)するか、尋ねてみてください。養生とは、住宅を保護するための措置です。シロアリ駆除では様々な機器を使うので、住宅や物品が傷ついたり汚れたりしないように、クッション材やビニールシートなどで養生するのです。

過去のシロアリ駆除工事の様子の写真を示して、「当社では駆除のときにこのように養生いたします」と回答したら合格です。

優良業者の特徴5「保証がついてくる」

優良業者はシロアリ駆除後の保証をつけます。保証とは、駆除工事後にシロアリが再発したら再駆除を無料で行うことなどを約束したものです。
保証期間は3年や5年が多く、長ければ長いほど優良度は高くなります。それくらい自社の駆除になるからです。

例えば5年保証をつけているシロアリ駆除業者は「どんなに短くても5年間はシロアリを再発させない自信があります」と宣言しているのと同じです。

まとめ~業者選びには1カ月をかけよう

シロアリ業者の選定には、1カ月くらいかけましょう。最初の1週間であなたが基礎知識を身につけ、2~3週目で3~4社に見積書を提出してもらい、4~5週目で再見積もりの依頼や価格交渉をする、といったスケジュールです。悪徳・駄目業者は、客にじっくり検討されることを嫌います。業者選考に時間をかけるだけでも、悪徳・駄目業者排除につながります。