マンションなどの鉄筋コンクリートの集合住宅と、一軒家などの木造住宅では、シロアリ駆除と対策の方法が異なります。
マンションはシロアリに攻められにくいのですが、いったん攻め込まれると駆除が大がかりになる傾向があります。一軒家はシロアリ被害を受けやすいのですが、駆除方法がかなり研究されているので駆除の効果が出やすいといえます。
集合住宅と一軒家における、シロアリ駆除の違いについて見ていきましょう。
被害の出やすさが違う
集合住宅と一軒家では、被害の出やすさが違います。集合住宅は被害が出にくく、さらに被害が見えにくいので住民たちに油断が生まれます。
一軒家は被害を受けやすいのですが、監視する人も警戒する人も家族だけが頼りになるので、発見が遅れる場合があります。
集合住宅は「侵食されにくいこと」が盲点になる
集合住宅には木造もありますが、ここでは鉄筋コンクリートの集合住宅について考えていきます。シロアリは木材を餌にします。またシロアリは頑丈な顎で住宅の材料を噛み砕きながら被害を拡大させます。
さすがのシロアリも鉄筋とコンクリートは噛み砕くことはできません。
だからシロアリは集合住宅に発生しにくいのです。
しかしこの事実が住人たちの盲点になってしまいます。
「マンションに発生するわけがない」という油断を生む
集合住宅がシロアリに侵害される確率は低いのですが、ゼロではありません。
そのため住人たちは「集合住宅が侵害されるわけがない」という誤った認識を持ってしまいます。
せっかく住人がシロアリの羽アリを見つけても、「集合住宅にシロアリがいるはずがない」という先入観があると「黒アリの羽アリだろう」と思ってしまい対策を取り損ねてしまうのです。
集合住宅のシロアリ被害で恐いのは油断です。
羽アリを見逃さないで
羽アリとは、シロアリの形の1つです。シロアリは同じ種類であっても、与えられた仕事によってそれぞれ形が異なるのです。
1つのシロアリの巣の中には、女王アリ、王アリ、職蟻(しょくぎ、働きアリ)、兵蟻(へいぎ、働きアリ)、ニンフ(将来の女王アリ、王アリ)がいます。
ニンフは羽を生やすので、羽アリと呼ばれることがあります。
シロアリの羽アリの発見は、集合住宅でも一軒家でも、貴重なシロアリ発生のサインですので見逃さないようにしましょう。
一軒家は「お菓子の家」のようなもの
木造一軒家の家主は、自分の住宅はシロアリにとってお菓子の家のようなものであると認識しておいてください。シロアリは木を餌にするからです。
シロアリは自然界の中では、倒れたり朽ち果てている木しか食べません。
地面にしっかり根を張って生きている樹木は、シロアリは食べないのです。
よって、森から切り倒された木で組み立てている木造住宅は、シロアリにとっては餌にしか見えないのです。
「被害を受けていないのは幸運なだけ」と思うようにする
一軒家は集合住宅よりも格段にシロアリ被害に遭いやすいといえます。
そこで一軒家のオーナーは常に、
- うちがまだシロアリ被害を受けていないのは幸運なだけ
- 木造住宅は予防策を講じなければ必ずシロアリに襲われる
- シロアリは必ずいつかうちにもやってくる
といった気持ちを持っていることが大切です。
新築住宅も6年目に入ったら一度点検を
また新築住宅を購入した方も、建設から5年が過ぎたら一度シロアリ駆除業者に点検を依頼したほうがいいかもしれません。
木造住宅に使う木材はシロアリ予防処理をしていることが多いのですが、その効果が5年ほどで薄れてしまうからです。
駆除方法が違う
シロアリの駆除方法は一軒家対策で発展してきました。集合住宅のシロアリ駆除方法は、一軒家の駆除方法を応用した内容になっています。
そこでここでは、先に一軒家でのシロアリの駆除方法について解説し、次に集合住宅での駆除方法の特徴を紹介します。
一軒家のシロアリ駆除方法
一軒家にシロアリが発生した場合、バリア工法(またはケミカル工法)とベイト工法のいずれか、または両方を採用します。
バリア工法(またはケミカル工法)とは
バリア工法とはシロアリ専用の駆除薬剤を散布する方法です。
ケミカル製品である薬剤を使ってシロアリが侵入できないバリアをつくるので、このような名称になっています。
薬剤は、
- 住宅の柱などの木材に塗る
- 住宅の木材に細い穴を開けて注入する
- 住宅の床下などの地面に散布する
といった使い方をします。
ベイト工法とは
ベイトとは餌という意味で、シロアリ駆除では毒餌のことをベイトと呼びます。
ベイト工法では、毒餌とシロアリの本物の餌である木片をプラスチック容器に入れ、その容器ごとシロアリの巣穴近くの地面に埋めます。本物の木片でシロアリを誘い込み、木片と一緒に毒餌を巣に運ばせて、巣の中のシロアリ全体に毒をまく戦法です。
シロアリがこの毒餌に触れたり毒餌を食べたりしても、すぐには死にません。
この毒餌はシロアリの脱皮をさまたげる効果があるのです。シロアリは脱皮しないと成長できないので、しばらくすると死んでしまうのです。
集合住宅のシロアリ駆除方法
集合住宅では、シロアリの羽アリが見つかったもののどこからやってきたのか分からないことは珍しくありません。しかし羽アリの飛距離は短いので、集合住宅内で発生している可能性は高いのです。
そこで集合住宅のシロアリ駆除は、
- シロアリがどこから来て
- シロアリがどこを狙っているのか
を探すことから始めなければならないのです。
壁のヒビに薬剤を注入
高級マンションといえども完成から10年以上経過するとコンクリートの壁に小さなヒビが現れます。その中にシロアリがいることがあります。
その光景を見て「シロアリがコンクリートをかじっている」と思う人がいるかもしれませんが、シロアリにはコンクリートを破壊する力はありません。ヒビが先にできて、シロアリが後から侵入しているのです。
木造住宅であれば壁の一部をはがして薬剤をたっぷり塗り、その後に壁を修復することもできますが、マンションのコンクリートの壁ではそのような方法は採用できません。そこでヒビの中に薬剤を注入することになります。
しかし実際の被害状況を見ずに薬剤を注入することになるので、効果がすぐに現れないこともあります。そのため集合住宅のシロアリ駆除は長期化することが珍しくありません。
ベイト工法は集合住宅でも有効
庭がついているマンションの場合、ベイト工法が有効です。作業自体は一軒家のときと同じで、毒餌と木片をプラスチック容器に入れて土中に埋めます。
ただベイトを埋める場所が適切でないと効果が出ません。集合住宅の場合、ベイトの容器を埋める場所を決めることが容易ではありません。シロアリの巣の場所は、蟻道(ぎどう)というシロアリがつくるトンネルから推測するのですが、大きなマンションだと蟻道を見つけるのが簡単ではありません。
よって集合住宅のベイト工法では、設置した後の観察が重要になってきます。シロアリが木片やベイトを食べに来たか定期的に確認し、その様子がなければベイトの埋設場所を増やしていかなければなりません。
駆除期間が長期化しますし、ベイトを増やせば費用もかさみます。
ただベイト工法は、きちんと機能さえすれば巣ごとシロアリを根絶することが期待できるので集合住宅のシロアリ駆除の有効な手立てといえるでしょう。
被害が出やすい場所が違う
シロアリ被害の発生場所でも、集合住宅と一軒家では異なります。
ただ、シロアリは湿っている場所と木材が近い場所を好む、という原則は同じです。
集合住宅はここに被害が出やすい
集合住宅の被害場所は特定しづらいという特徴があります。
意外なところに出てきます。
エキスパンションジョイントに発生することもある
集合住宅でのシロアリの発生場所の特定が難しいのは、建物の構造も一因になっています。
マンションのような大きな建造物になると、一体でつくることができません。マンションはいくつかの大きな「ひとかたまり」をつなぎ合わせてつくっているのです。
このような構造を持っていると、地震のときに「あるかたまり」と「別のかたまり」が異なる動きをしてしまいます。揺れが大きくなると「かたまり」どうしが離れてしまい、建物が引き千切れてしまいます。
そこでマンションなどは、「かたまり」と「かたまり」を特殊な方法でつないでいるのです。その特殊なつなぎ方を、エキスパンションジョイントといいます。エキスパンションジョイントは地震の揺れを吸収して、隣り合う「かたまり」が異なる動きをしても引き千切れないようにする役割があります。電車の連結部分のような役割を果たしています。
エキスパンションジョイントは、2つの「かたまり」がくっついている箇所なのでそこにシロアリが通過できるくらいの隙間は簡単にできてしまいます。
ここにシロアリが発生することがあるのですが、エキスパンションジョイントの中を開くには大きな工事が必要になり、事実上中身を確認することは不可能です。
残された木片
鉄筋コンクリートの集合住宅であっても、意外に木は使われています。そこがシロアリのターゲットになることがあります。
最も多いのが、地中の木片です。集合住宅の基礎をつくるときに、木枠をつくってその中にコンクリートを流し込むのですが、木枠はたいていはそのままコンクリートの基礎と一緒に土の中に埋めてしまいます。
この木枠がシロアリに狙われると人の手でそこまで掘り進めることはできませんので、駆除は困難を極めます。
また、森林などの緑地を切り拓いてマンションを建設した場合、切り倒した木の切り株を土の中に放置してしまうことがあります。
これも木枠同様、シロアリを寄せ付けてしまいます。
水はけが悪くなったベランダは要注意
集合住宅では上層階のベランダに降り注いだ雨水をスムーズに地上に流すため、しっかりした雨どいが設置されています。
しかし経年劣化によって雨どいから水が漏れ出すと、ベランダが年中湿気た状態になります。シロアリは湿気た場所が快適なので、ベランダが被害を受けることもあります。
またマンションのベランダは、床に穴を開けて避難口と避難階段を設置しています。避難口は普段はふたをしていますが、ここも雨水がたまりやすい場所になります。
ベランダの避難装置からシロアリが見つかった事例も報告されています。
実は集合住宅はシロアリが侵入しやすい構造
集合住宅には普通、床下がありません。床下とは、地面と床の間の空間部分のことで、一軒家には必ずあります。集合住宅は地面と床が直接接触していることになります。
シロアリにとっては、床下という空間を通過する必要がないため、実は集合住宅のほうが一軒家より侵入しやすいのです。ただ集合住宅は一軒家より木材が少ないので、侵入する頻度が少ないだけなのです。
ということは、集合住宅の中に木材があり、シロアリがそれに気がつけば、シロアリは簡単にその木材に到着できるのです。
和室の畳の下に木の板を敷いていたり、部屋の内装を木をたくさん使ってウッディにしたりすると、シロアリに狙われる可能性があります。
集合住宅の1階は一軒家と同じ条件
集合住宅の1階は、シロアリにとって一軒家と同じ条件になるので、
- 浴槽
- 台所
- トイレ
は注意が必要です。
こちらは次の「一軒家はここに被害が出やすい」で解説します。
一軒家はここに被害が出やすい
浴槽、台所、トイレは水が常に流れている場所なので、シロアリ被害が出やすい場所です。特に中古住宅を買った人や、これから中古住宅を買おうと考えている方は、この3カ所を重点的に観察しましょう。
一軒家ではそのほかに、
- 玄関
- 床下
- 住宅周辺の日陰部分
などにシロアリが発生しますので注意してください。
シロアリを発見してからのアクションが違う
シロアリを発見したら、すぐにシロアリの生態とシロアリ駆除についての知識を身につけ、次にシロアリ駆除業者に相談しなければなりません。
一分一秒を争うわけではありませんが、初動がずるずると1週間1カ月と遅れないようにしましょう。
一軒家はすぐに駆除に取りかかることができる
一軒家の場合、家主は自分の家を守るという意識が強いので、そして家族に相談して決めればすぐに動けるので、シロアリ駆除が遅延することはないでしょう。
分譲マンションではシロアリ駆除が遅れてしまうかもしれない
しかし分譲マンションの場合、ある部屋にシロアリが発生し、それをマンション全体の問題としてとらえ、マンション全体で駆除に乗り出すには、「管理組合の決定」という時間がかかる手続きが必要になります。
管理組合が行動するには、原則マンション入居者全員の合意が必要なので、1人でもシロアリ駆除に反対すれば初動が遅れます。最上階の住人は、1階に発生したシロアリに興味を持たないかもしれません。
集合住宅の1階に発生したシロアリ被害は、仮に最上階の住人が1階に住んでいたとしても発生していた可能性が高いので、やはり住民全体の問題として素早く駆除に取りかかったほうがいいでしょう。
まとめ~特に注意が必要なのは集合住宅
一軒家に発生したシロアリの駆除は、優良な業者に巡り合うことができれば、ほぼ100%解決するでしょう。
問題は集合住宅です。集合住宅のシロアリ被害は発生頻度が低いのでシロアリ駆除業者にノウハウが蓄積されておらず、なおかつ利害関係者の調整を図らなければならないので時間がかかります。
分譲マンションのオーナーの自宅にシロアリが発生したら「長丁場」になることを覚悟しなければなりません。
ただ、マンション駆除に精通したシロアリ駆除業者も存在しますので、根気強く探してみてください。
白住協を選んだ5つの理由をまとめました
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