私(38歳サラリーマン、シロアリ駆除経験あり)は幸い、初めてのシロアリ駆除に失敗しないで済みました。良いシロアリ駆除業者に出会うことができ、駆除は成功したと感じています。
駆除を依頼した業者の方が駆除から3カ月後に自宅を見に来てくれて、再発していないことを確認してくれました。駆除から1年後には、また調査に来てくれることになっています。
仮に今後、シロアリが再発したとしても、5年保証に入っているので安心です。

私が優良業者と出会えたことは偶然ではありません。私なりにシロアリ駆除業界を勉強し、優良業者の特徴を知り、悪徳業者の癖を学び、4社から見積書を取り、そのうえで最良と思える業者を選んだからです。

私は家電を買うときでもこのように慎重に吟味する質(たち)なので、今回のシロアリ駆除業者の選考も苦になりませんでしたが、中にはこうした作業を面倒に感じる人もいるでしょう。

そういった人に向けて、初めてシロアリ駆除をする人が失敗しがちなことをいくつか紹介したいと思います。
これを読んでいただければ、少なくとも同じ失敗を体験しないで済むでしょう。

そしてこれを読めば、あなたはより用心深くなるため、ここに紹介しきれなかった初心者の失敗も回避できるでしょう。

「シロアリ日記」のあらすじ
 私(サラリーマンA、38歳)は最近、神奈川県横浜市の「すこしいいめ」の住宅街に、築25年のリノベーション済みの一戸建て住宅を購入しました。妻と小学生の子供2人も気に入っていたのですが、1階の和室の床下にシロアリが巣くっていたのです。私のシロアリ駆除の体験から、失敗したことや良い業者と出会えた経緯などを紹介します。

「失敗の定番」はシロアリの再発

シロアリ駆除による失敗の定番は、やはりシロアリの再発です。
ひどい事例ですと、駆除終了から数カ月後にシロアリの羽アリが見つかっています。

なぜ駆除したはずなのに再び現れるのか

シロアリが再発する最大の理由は、いい加減な駆除工事です。シロアリは家を食べながら移動します。つまりシロアリ被害を受けている場所が「過去の現場」だった場合、そこにいくら薬剤を散布してもシロアリは死にません。

スキルが低い業者はシロアリが居る場所を特定できない

また、シロアリは土の中や住宅の木材の中に巣をつくるのですが、スキルが低い業者は、巣の場所を特定できません。
シロアリ駆除に使う薬剤の価格は安くないので、作業員は薬剤の散布量を必要最小限にしようとします。シロアリが現れそうな場所や巣がある周辺を中心に薬剤をまいていくのです。
薬剤の散布場所は住宅の床下になるので、住人の健康への影響を考えると、薬剤の散布量を最小限にすることは、住人にとってもよいことです。
しかし作業員の巣の位置の見立てが間違って、効果のない場所に薬剤をまいたら、そもそも意味がありません。

優良業者は蟻道(ぎどう)で活動範囲を読む

これはある業者さんが言っていたことなのですが、優良業者がシロアリの巣の場所やシロアリの現在の活動範囲を外さないのは、「蟻道を読む」からだそうです。
蟻道とは、シロアリがつくるトンネルのことです。シロアリは光や風が嫌いなので、土や糞を材料にしてトンネルをつくるのです。シロアリはその蟻道トンネルの中を通って餌場となる住宅の木材まで「通勤」するのです。
蟻道はシロアリの活動履歴なので、蟻道の位置によって活動範囲が予測できるというわけです。

さらに、本巣と分巣をつくるシロアリもいます。本巣はいわば本社で、分巣は営業所です。分巣の数を増やしながら、シロアリは行動範囲を広げていきます。企業が営業所を増やして商圏を拡大させるのと同じです。

つまり、本巣と1個の分巣を駆除できても、もしその他に分巣があり、そこに薬剤を散布できなかったらシロアリは生き残るわけです。
この場合、業者としては「本巣と分巣を駆除したのだから、駆除は失敗していない」となります。しかし私たちは、シロアリ駆除業者が1匹残らず駆除してくれるものと期待しているので「失敗」と映ります。

穿孔(せんこう)をしなかったための再発

シロアリ駆除の薬剤散布の方法の1つに、住宅の柱に細い穴を開けて、その中に薬剤を注入する穿孔という方法があります。
穿孔はとても手間がかかるので、業者によっては別料金にしていることがあります。業者から穿孔をすすめられながら、家主がそれを断ったばかりにシロアリが再発した場合は、業者を責められないでしょう。

しかし、本来は穿孔が必要な状態だったにも関わらず、業者が穿孔の提案をせず、その結果シロアリが再発した場合、私たち消費者側は業者のせいにしたくなります。

薬剤による健康被害もゼロではない

シロアリ駆除の失敗で深刻なのは、薬剤による住人の健康被害です。
独立行政法人国民生活センターのホームページに衝撃的な数字が載っていました。
シロアリ駆除を行った後に、住人が次のような症状を引き起こしたという相談が寄せられたのです。

喉の刺激、痛み、頭痛、嘔吐、むかつき、目の刺激、気分不快、体調不良、皮膚のかゆみなど。

このデータはこちらのURLで閲覧できます。
http://www.kokusen.go.jp/news/data/a_W_NEWS_043.html

ただこの調査は1997年に行われたもので、現代は薬の改良が進んでいると思いますが、それでも心配になりませんか。

適切な薬剤を正しく使用しているかどうか確かめるのは簡単

私は、声をかけた4社すべてに、薬剤名と使用方法と散布場所を尋ねました。
私は、業者が日本しろあり対策協会が認定している薬剤を、同協会が指定している方法で使っているかどうか確認したかったのです。

薬剤とその使用方法の確認はとても簡単です。
日本しろあり対策協会の次のURLを開くと、すべての認定薬剤とその使用方法が書かれてあるのです。
http://www.hakutaikyo.or.jp/nintei/

例えば「この薬剤は水で200倍に薄めて使う」といったようなことまで分かります。
私が見積もり依頼した4社は、見事にすべて日本しろあり対策協会の指示通りの薬剤を使っていました。

家族の健康のために許されない失敗もある

4社のうちの1人の営業担当者は私に「そこまで調べる人は珍しい」と言われました。
しかし私としては、シロアリ被害が避けられなかったのは仕方がないとしても、家族の健康だけは守らなければならないと必死でした。

別の会社の営業担当者は「お客さん全員が、Aさん(私のこと)のように薬剤に敏感になってくれると嬉しいのですが」と言っていました。

この方いわく、シロアリ駆除の効果が高く健康被害が小さい薬剤は値段が高いそうなのです。この業者はその高い薬剤を使っていました。そのためこの業者の駆除費用は、他業者よりやや高めになっていて、それで相見積もりで落選することが少なくないそうなのです。
私はこの業者に頼みました。

DIYで失敗…「シロアリ駆除あるある」です

ホームセンターに行くと、シロアリ駆除グッズが多数売られています。私も当初、DIYで駆除してみようかとも考えましたが、床下に入るのが恐くて断念しました。

でも、それでよかったと思っています。
なぜならシロアリ駆除業者でさえシロアリの活動範囲を特定することは困難を極めます。日頃から大がかりなDIYをやっている人ならともかく、素人が床下作業に挑戦するのは無謀でしょう。

そして、ホームセンターやネットなどで販売しているシロアリ駆除用の薬剤は、決して安くないのです。
自分でやって失敗したら、結局は業者を呼ぶことになります。DIY駆除にかけた費用が無駄になると思いました。

アフターケアや保証を受ける前に業者が倒産することもある

シロアリ駆除業者の中には、アフターケアや保証を設定している会社があります。ちなみに私は、アフターケアと保証があることを前提に4社を選びました。

私が駆除を依頼した業者は、3カ月後点検と、1、2、3、4、5年後点検の計6回、アフターケアをしてくれることになっています。すでに3カ月後点検が終了しました。
保証期間は5年で、この間にシロアリが再発したら無料で再駆除を受けることができ、再発したシロアリによって住宅が壊されたら、その補償を受けることができます。

ところがこのアフターケアや保証にも「失敗」が潜んでいるのです。
それは、業者がその間に倒産してしまうことです。業者がなくなってしまっては、アフターケアも保証も受けることはできません。

そのようなリスクがあることを知っていた私は、見積もりをいただいた4社に対し、会社の創業年を尋ねました。それだけが理由ではありませんが、最も若い業者は選考から外させていただきました。

悪徳営業担当者の不安トークにだまされて高額契約

悪徳業者の営業担当者は、とても話が上手です。悪徳営業担当者はアポなしで一軒家に飛び込んで、初対面の家主に営業トークを浴びせかけます。

あることないことをまくしたてる

家主が「うちにシロアリはいない」と言おうものなら、
「なぜ素人にそんなことが分かるのか」
「シロアリは住人に気がつかれないように柱を食べている」
「シロアリは日中は巣の中に隠れていて、住人が寝静まったころ活動する」
「うちはこの地域で5件ほどシロアリ駆除をしている」
「この地域は晴れの日が少なく降雨量が多い地域だからシロアリが発生しやすい」
「家に住みついたシロアリは、他のシロアリを呼び寄せてしまう」
「シロアリに侵害された家の価値は半分以下になる」
などと、あることないこと喋り倒します。

「無料床下調査までこぎ着けたらこっちのもの」と思っている

そして家主が聞き疲れたところで、営業担当者は「無料の床下調査を受けませんか」と提案します。
この床下調査が曲者(くせもの)で、営業担当者は床下にもぐってしばらくして出てくると「やっぱりシロアリがいる痕跡がありました」と、ギリギリ嘘にならないことを言います。
悪徳営業担当者は、家主が床下を見たことがないことを知っています。さらに、「シロアリの痕跡がある」と言っても、わざわざ床下に潜って確かめる家主もごくわずかであることを知っているからです。

その場での契約を断ると逆切れ

そして悪徳営業担当者は家主に、この場でシロアリ駆除の契約を取り交わすよう迫ります。悪徳営業担当者は鉄の心臓を持っているので、家主が少しくらい拒否しただけではまったく動じません。家主が「今日は契約できない」ときっぱり言おうものなら、今度は開き直って「床下調査までやらせて、しかもシロアリを見つけてあげたのに、ほかの業者に発注するつもりだろう」と強迫まがいのことを言います。

「警察を呼ぶ」と言おう

もしここまで迫られたら、「警察を呼ぶ」と言ってください。それでも帰らなかったら、本当に110番して大丈夫です。
飛び込み営業を仕掛けてきた業者が、帰れと言っているのに居座っていれば、それは立派な被害ですので遠慮なく「警察沙汰」にしてください。

リフォーム業者が悪質手口を発見

シロアリ駆除のメニューの1つに、床下に換気扇を設置する工事があります。換気扇は、シロアリが嫌う乾燥した環境をつくるので、それ自体は正当な駆除方法です。
しかしこれが、シロアリ駆除初心者の失敗を生むことも少なくないのです。

1~2基で十分な床下換気扇が7基もあった

普通の一軒家に、換気扇を7台も設置さられて法外な費用を請求され、支払ってしまった事例があります。家主は「床下を乾燥させるにはそれくらい必要」という説明を信じて疑いませんでした。

家主が過剰工事に気付くのは、それから数年後でした。家主は今度は別の業者にリフォームを依頼しました。
大がかりなリフォームだったので、リフォーム業者は念のため、柱の強度を確認しようと床下をのぞきました。すると7台の換気扇が距離を置かずに1列に並んで配置されていたのです。

この住宅の規模であれば1、2基、多くても3基で十分なところに7基もあり、しかも7基は効果的な場所に配置されているのではなく、ただ単に並べて置いただけです。
リフォーム業者は住宅構造の専門家ですので、家主に「これでは換気扇が床下の空気の流れを邪魔している」と話したそうです。

まとめ~基本知識と複数見積もりで失敗は防げます

シロアリ駆除初心者の失敗の2大原因は、基本知識がないことと、1社に話を聞いただけで契約してしまうことです。よって、シロアリ駆除初心者が失敗を回避するには、基本知識を身につけて、3~4社に相見積もりを取ることです。基本知識といっても、このサイトの記事に目を通すだけで十分です。