「もしかしてこの被害は白蟻の仕業かもしれない…」
と、今まさに白蟻の被害の疑いがある方もいると思います。
白蟻の被害は目に見えないところから侵食していることが多く、大きな被害になってから気が付くという場合も少なくありません。もし今、白蟻の被害の疑いがあるのであれば早急に対処する必要があります。
この記事では白蟻の生態及び被害の見分け方、白蟻を駆除する方法などについて解説していきます。
白蟻の生態
白蟻は木を主食とする生物で、木の幹に豊富に含まれるセルロースを栄養源にして生活しています。
セルロースを栄養として分解できる生物は非常に稀な存在で、自然界では倒木などを食べて土に還すという重大な役割を担っています。その重大な役割をたたえて「森の分解者」とも呼ばれています。
しかし人間界において白蟻は木造住宅の木を食べてしまう最悪の生物です。
地球上で最も多い昆虫とも言われており、その被害は毎年とどまる所を知らず年間3,800億円もの被害が出ています。これは火災による損害額の2倍に当たる額になります。
家に被害を与える白蟻の種類
日本には20種類以上の白蟻が生息していると言われています。
その中でも家に被害を加える白蟻はヤマトシロアリ、イエシロアリ、アメリカカンザイシロアリの3種類です。日本の9割近い被害はヤマトシロアリとイエシロアリが引き起こしています。
ヤマトシロアリ
ヤマトシロアリは北海道北部を除く日本全土に生息している白蟻です。
4月~5月にかけて最も盛んに活動し、午前中から日中にかけて地上に飛び出していきます。ヤマトシロアリは12~28度が最適温度とされているので、4月~5月だけでなく秋ごろにも注意が必要です。
主には床下で活動を始め、湿気の多い場所や腐朽木材、光や風のない空間を好んで生活します。環境によっては天井にも住み着いている可能性があるので、白藍の存在を確認するには天井までしっかり確認しましょう。
イエシロアリ
イエシロアリは千葉県以西の温暖な沿岸地域を中心に生息している白蟻です。
6月~7月にかけて最も盛んに活動し、夕方から夜にかけて地上に飛び出していきます。床下や地中に大きな巣を形成し、50~100万匹の大群が同じ巣で生活をしています。
餌場から離れたところに巣を作り動き回るので、家の近くに巣があると甚大な被害を受けてしまいます。さらに水分を運ぶ能力も備わっているため、乾燥した木材でも関係なく食べることができ家全体に被害をもたらします。
アメリカカンザイシロアリ
アメリカカンザイシロアリは全国各地に点々と生息している白蟻です。
元々はアメリカに生息していましたが、木材や家具の輸入によって持ち運ばれ、まだ数は少ないですが日本でも繁殖を始めています。
7月~9月にかけて最も盛んに活動し、昼間に飛び出していきます。乾燥した木材が好物で、その中に含まれる微量の水分を取り入れながら生活をしています。
ヤマトシロアリやイエシロアリは土の中に巣を作りますが、アメリカカンザイシロアリは木の中に巣を作ります。家からアメリカカンザイシロアリが出てきた場合には家が巣になっていると考えた方が良いでしょう。
白蟻による被害の見分け方
もしかしたら白蟻の被害かもしれないと思ったら、以下の3つに当てはまるものがないか確認してください。
これらのどれか1つでも当てはまるようであれば白蟻による被害である可能性が非常に高いで何かしらの対処が必要です。
☑️叩くと空洞音がする
☑️土のような付着物がある
☑️家が急速に劣化している
叩くと空洞音がする
白蟻の被害を受けている柱や壁を叩くと中身がスカスカになっているので軽い空洞音がします。
これは白蟻が柱や壁の内側を食べてしまったことが原因で、被害が進んでいるものだと叩くだけで穴が開いてしまう場合もあります。
白蟻の被害を受けていない場所と比べると音の高さが全く異なるので被害を受けていればすぐにわかるでしょう。
土のような付着物がある
明らかに不自然な場所にある土のような付着物は白蟻が通り道として利用する蟻道である可能性があります。
木材の周辺で不自然に土が固められたようなものが見られる場合には白蟻を疑いましょう。
家が急速に劣化している
ドアの開閉がうまくできなくなくなったり、床が抜けたりと家が急速に劣化し始めている場合には白蟻が潜んでいるかもしれません。
柱や壁、床下の木材を食べることで家が歪んだり、体重を支えきれなくなったことが原因と考えられます。脆くなってきている部分もしくは床下や天井など白蟻が住み着きそうな場所に白蟻がいないか十分に確認しましょう。
白蟻の駆除方法
白蟻を駆除する方法は主に3種類です。
☑️ベイト工法
☑️木部処理
☑️土壌処理
近年では自分で駆除できるような商品も販売されていますが完全に駆除することは難しいので、白蟻駆除の専門業者に依頼することをおすすめします。
ベイト工法
ベイト工法とはベイトステーションと呼ばれるものを一定間隔で埋め込み、その中に白蟻の好物であるセルロース+毒を混ぜたベイト剤を入れておきます。あとは餌を運ぶ働きアリがベイト剤を巣に持ち帰り、白蟻たちが食べることで駆除が完了します。
木部処理
木部処理とは白蟻が食べる木材に薬剤を散布する方法です。
白蟻は表園から内部に入っていくので、表面に薬剤を散布する「吹き付け処理」とドリルで穴を開けそこから内部に薬剤を注射する「穿孔処理」を行います。木部処理をすることで白蟻が近づきにくくなります。
土壌処理剤
土壌処理剤とは床下土壌の表面に薬剤を散布する方法です。
白蟻は地中から建物に侵入することが多いので、床下土壌に薬剤を散布しておくことで白蟻の侵入を防ぐことができます。
まとめ
白蟻は主に木材の内部を食べていくので、家に侵入していても気づかない場合も多いです。
そのため気づいた時に早急に対処をしなければ、被害が大きくなっていく一方になってしまいます。少しでも白蟻被害の疑いがある場合には、白蟻がいるのか隅々まで確認し、いる場合には白蟻駆除の専門業者に依頼して駆除してもらいましょう。